2006年9月 5日号 - 新刊紹介・新刊を読む

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『東京大学「80年代地下文化論」講義』


 80年代、バブルにより景気が以上に活性化。これに伴う価値観の多様化はいわゆる「オタク文化」を生んだと言われる。だが、バブルの崩壊とともに80年代を覆っていた華やかな気風は霧散した。多くの書が「80年代はスカだった」と評する中、著者は「スカ」ではなく現代の文化への準備期間であったと主張する。
 本書は、演出家で劇作家の宮沢章夫氏を講師に迎えた、教養学部後期課程05年度冬学期の講義の記録をつづったもの。日本初のクラブである「ピテカントロプス・エレクトス」を始め、YMOや六本木WAVE、岡崎京子などをキーワードに、80年代が用意した「オタク」以外の側面を探し求める。80年代の文化をかみくだいて解説しており、講義中の学生の質問にも丁寧に対応。「昔の人の感性は理解できない」という人でも軽快に読める。分析が東京の一部にとどまるのは残念だが、80年代と現在の関係を貪欲に追及する作業には、気がつかなかった自分のバックグラウンドを探るようで興味深い。