母の死に涙も流さず、人生を無意味だととらえるムルソー。ナイフに反射した太陽の光がまぶしいと言ってアラブ人を射殺し、彼は死刑に処せられる。その様子をムルソー自身の視点から描いた作品が、カミュの『異邦人』だ。不可解な言行と不条理な殺人の動機はムルソーを理解不能な人間に見せ、淡々とした彼の語り口は冷たい人間像を読者に想起させる。
大して、本書『カミュ「よそもの」きみの友だち』は、ムルソーに人間臭さを感じられるようにこの物語を解釈。『異邦人』という題の「外国人」という意味に加え、「異質な者」という願意を明確にするため、著者は「よそもの」という語を使う。ムルソーがどのような点で異質な「よそもの」であるのかを明らかにし、一見不可解なムルソーの言行から彼の価値観を見出して行く。「限りあるゆえに人生は無意味だが、だからこそ人生の一瞬一瞬を愛すべき」という、アルジェリアの厳しい日差しの中で育まれた死生観だ。
本書は『異邦人』の解釈を通して、私たちに一見理解しがたい人と向かい合い、その生き方を受容する方法を提示していると言えるだろう。