昨年、ソウル大学でES細胞に関する論文の捏造があった。東大や大阪大学でも研究の捏造が発生している。なぜ今次々と論文の捏造が行われているのか。本書は、21世紀の物理学に名を残す英雄と言われたアメリカのヤン・ヘンドリック・シェーンが01年に起こした事件について書かれている。
本書はまず、シェーンが世界中の学者を驚愕させるような論文を次々に発表してから捏造発覚までの過程を丁寧に説明する。その上で、事件が科学界に対して投げかける問題を指摘する。 著者は、事件の責任の一端は科学界の構造にあるという。そして、査読機能が十分に機能しない科学界のあり方や、研究者間の信頼が重視されるため捏造を告発しにくいという点を指摘する。
本書は物理学を専門としない人でも分かるように事件の内容が丁寧に説明されているので非常に読みやすい。研究職を視野に入れているのであれば、是非一読を勧めたい。
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