まずこの本をひも解いて一番に抱くのは、記号論理学の入門書と銘打っているにもかかわらず、記号が用いられていないことへの驚きだ。記号を使わずにどのようにして論理学を解説するのか――日常の中で用いられる身近な表現を題材に選び、そこに潜む論理の仕組みを解明していくという形で、その疑問に応えている。簡単な表現から、徐々に高度なことに言及する過程を通して、本格的な論理学へとつながる理論化、体系化を試みている。
文章全体が平易な文体で書かれていることも手伝って、「論理学を『裸』にする」ことに成功していると言え、論理学初心者にとっては親切なつくりだ。また、笑いの要素を随所に散りばめ、読者を引きつける工夫がなされている。
こうした特徴的な構成や文体から考えるに、およそ「教科書」とは程遠い「入門書」ではある。だがそこに、「いままでになかった論理学の本を」という著者の意図が見える。これまで論理学に抵抗のあった人にとっても受け入れやすい、これぞ論理学の入門書、と呼べる一冊だ。
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