「好きなことを仕事に」。これは、学生が就職を考えるときに重視する一つの視点であろう。本当に好きな仕事なら、どれだけ辛くてもやり通せるかもしれない。だが、本書はそんな考えに「待った」をかける。
バイクが趣味の著者は、東大在学中に休学し、バイク便ライダーの仕事を始めた。初めは「趣味でお金が稼げればいいか」という軽い気持ちだったのかもしれない。しかし、著者がそこで目の当たりにしたのは、危険な仕事に自らのめり込み、体を壊して職場を辞めていく仲間たちの姿だった。仲間との会話や自身の心境の変化から、ワーカホリックを生み出す職場のトリックや、若者が搾取される原因を社会学的手法で暴いていく。
本書の興味深い点は、搾取の原因を、安易に格差社会や利益追従主義の企業体質に求めない点だ。今の受験戦争、就職戦争の被害者だとは認識しつつも、「搾取」の原因は若者たちの好戦的で疑うことを知らない性格にある、と指摘する。
本書は、上から与えられる仕事に安易に夢を求めてはならない、と若者に警告する。「頑張った先には何かあるかもしれない」とつい頑張りすぎてしまう人には一読をお薦めする。
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