「寛容」は日常生活を円滑に送るための重要な要素である、ということに対して全面的に異論を唱える人はいないと思います。そして一般に「自由・平等・理性などと並んで、西洋近代文明の基本的諸価値を構成する」ものであります。特に国レベルでも地域社会内でも対立が絶えることのない状況にあっては、他者に対して寛容であることの意味について考えてみる必要を感じます。
本書は、中世から現代までヨーロッパ諸国における宗教上の寛容と不寛容がいかに展開したかを、8人の西洋史研究者たちが比較検討を試みています。寛容という概念自体が、他者の存在なくしては成立しないともいえますし、時代や地域によってとらえられ方も一様ではないのですから、決して容易ではありません。しかし困難だからこそ、概念が鍛えられ、現代にあって直面する問題の根本的解明への指針へつながる、そのように多くの方に読んでいただければ幸いです。《寄稿=東京大学出版会》
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