厳格で適正な指導・審査によってこそ信頼を獲得する大学院。だが、その内実にも不備が潜んでいる。近年、増設・規模拡大による大学院の大衆化によって、不正な処置問題の普及を危惧した著者は自身の体験を例に問題解決に乗り出す。
02年、羽入辰郎が著書でドイツの社会学者マックス・ウェーバーを「詐欺師」と痛烈に批判した。著者はこれに反論を唱えたが、羽入は応答を回避する。この態度に不審を覚えた著者は羽入の研究指導と学位認定に携わった研究科に所見を求めたが失敗に終わる。
そこで羽入の論文と審査報告を調べたところ、審査に欠陥が見つかる。著者は研究科に責任を問いつつ、問題を公開討論に委ね、研究指導と学位認定のあり方の再検討を訴える。
大学院の欠陥を指摘し、実態を追究する著者の手口は慎重だが実に鮮やかで、この問題がいかに丁寧な対応を必要とするかを物語っている。大学院進学を志す人は、是非一読して、公的研究機関に伴う責任の重さを実感してほしい。
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