2007年5月29日号 - 新刊紹介・新刊を読む

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『親米と反米』

 01年の米同時多発テロを契機に起こったイラク戦争は、世界の国々の多くで国内世論を「反米」に向かわせたが、日本人のアメリカに対する感情は「親米」であり続けた。情報学環長である筆者が、日本人の意識がこのように「親米的」と呼ばれるようになった経緯の分析が本書の目的だ。
 紙幅を割いて説明されているのが、戦後から高度経済成長期の間に起こっていた「二重の過程」だ。米軍は若者に文化や風俗の面で影響をもたらす一方で、日本人の抱く占領の記憶を巧みに抹消していったと筆者は指摘する。天皇の人間宣言も、米軍から日本人の意識をそらす一種の戦略だったという。
 この「二重の過程」が進む中で、日本人は「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ」に対する欲望を見せ始める。特徴的なのが「基地の街」に対するイメージの変容だ。50年代には、基地の存在という暴力と、アメリカ式の生活様式へのあこがれの葛藤があった。しかし、70年代には「基地の街」はファッショナブルな側面を誇張され「基地の街」であること自体が消費の対象になっていった。これを筆者は「日本人がアメリカを他者化できなくなった結果」と説明している。
 本書は「親米」は「反米」と日本の戦後文化の表象の結びつきへの説明が乏しく、これらの概念自体に興味がある人にはあまりお勧めできない。アメリカが日本にもたらした影響を、広告をはじめとしたメディアや大衆文化の面から明らかにしたい人に勧める一冊。【丼】