2007年10月30日号 - 新刊紹介・新刊を読む

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新刊を読む 『「科学的」って何だ!』(松井孝典、南伸坊著・ちくまプリマー新書)


 科学が目覚ましい進歩を遂げると同時に、専門家でないと理解困難な知識が増えていく今日。門外漢が複雑な科学の世界に対して取る態度は盲従でしかあり得ないのか。
 題名が示す通り「科学的」とは何かという問いから出発し、一般人にも科学に親しんでもらおうというねらいで書かれた本書。惑星科学が専門の松井孝典教授(新領域創成科学研究科)とイラストレーターである南伸坊氏による対話形式で話が進む。扱う話題は占いからビッグバンまで幅広いが、専門的な話に対しては南氏が適当なつっ込みを入れているため、専門知識が無くても無理なく読むことができる。
 松井教授はまず、科学的に「わかっている」状態と、単に「納得している」状態の違いを明らかにする。その上で両者の長短が示されるが、そこから見えてくるのはやはり、一般人が科学的に「わかる」ことの難しさだ。例えば時間が伸び縮みするといった概念は、専門家でもない限り「納得する」しかないのだ、という様に。
 しかし一般人であっても、「懐疑心」を持つことで科学的な思考が可能になると松井教授は語る。こうした懐疑心が薄れ、自分の頭で物事の根拠を探ろうとしない現在の日本の状態は、精神的に中世のようだと断じ、批判的な見方を示す。
 さらに話は、物質的欲求が常に精神的欲求を上回ってきた人類の歴史にまで拡大。単なる「科学的」な話の枠を超え、教育や社会制度のあるべき姿に言及していく。最後には、懐疑心が重要な役割を果たす両著者の理想の世界像が語られるが、実現にはやや悲観的で、現在の非「科学的」な日本の状態に問いを投げかけているように思える。
 ところで、宇宙人はいるがUFOはあり得ないという松井教授。ちょっと疑えば「わかる」そうだが、これは一般人の日常的な感覚でいては「納得」できそうもない。