本書は、「近代日本の思想家」シリーズの最終巻である。
このシリーズは、それぞれの執筆者が福沢諭吉、西田幾多郎、夏目漱石など明治以降の思想家に独自の視点からアプローチし、日本の近代を解明しようとするもの。全巻の構成は以下の通り。
①福沢諭吉 遠山茂樹
②中江兆民 土方和雄
③片山潜 隅谷三喜男
④森鴎外 生松敬三
⑤夏目漱石 瀬沼茂樹
⑥北村透谷 色川大吉
⑦西田幾多郎 竹内良知
⑧河上肇 古田光
⑨三木清 宮川透
⑩戸坂潤 平林康之
⑪吉野作造 松本三之介
このたび刊行した第11巻は、長年にわたる思想史研究を踏まえ、著者が吉野作造の思想に深く分け入った渾身の書下ろしである。
吉野の生い立ちから政党内閣期までを扱い、彼の膨大な著作を綿密に分析。その思想形成過程を丹念に追い、デモクラシー論の構造と特質を明らかにする。
吉野作造といえば大正デモクラシーの代表的思想家として名高い。本書では彼の民本主義の論理を詳細に検討し、その不徹底さも鋭く指摘しながら、現代における意義を考察している。
2008年は吉野の生誕130周年に当たる。本書は彼の思想的遺産を考える上で、示唆に満ちた書である。
《寄稿=東京大学出版会》
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