工学系研究科社会基盤学・都市工学・建築学の3専攻が共同で03年度から取り組んできた21世紀COEプログラム「都市空間の持続再生学の創出」の成果として出版された本。大学院生向けの講義の中から抽出し、今後の都市や建築を考える上での指針を示している。
高度経済成長期、日本では道路や橋梁(きょうりょう)など莫大な社会基盤が整備されていった。低成長時代に入り、資源も資金も制約されてきた中、今後は蓄積された都市のインフラストラクチャーをどう持続的に活用するかが重要となる。そのためには、まずリスクに耐えられるものでなければならない。リスク=ハザード×脆弱(ぜいじゃく)性だという。
そこで地震、台風などのハザードに対し構造物がどの程度耐えられるか。陳腐化、経年劣化した既存の構造物がどの程度もろくなるのか。その計測・対応への方策が、執筆した15人の教員の分野ごとにまとめられている。資金・資源の有効かつ効率的な活用として、建設資材のリサイクルの枠組みなど、社会制度面の研究も紹介されている。
研究対象は狭義のインフラストラクチャーだけにとどまらない。景観から、空間文化資源としての土木構造物や建築物の保存・活用に至るまで、都市基盤に関するほぼすべてを網羅している。
最先端の研究を知ることで、普段何げなく暮らしている都市空間にさまざまな資源、そして危険が潜んでいること、さらには将来の都市の在り方を学ぶことができる。
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