2008年10月21日号 - 新刊紹介・新刊を読む

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新刊を読む 『歴史のなかの未来』


 古書を読んで今の生き方を見直そう、とはよく言うが、その意味や得られる知識について懐疑的な人は少なくないだろう。一体どんな本からどんな知識を得るのがいいのか、といった具合である。この『歴史のなかの未来』は、そんな疑問に間接的に答えうる、書評集である。
 イスラム史、国際関係史を専門とする著者は、前期教養課程でもこれらをテーマにした講義を開講している。本書ではこれらのほか、日本史や現代の日本文化についての記述もある。
 本書に収められている書評数は実に100近くあり、触れられている著作は150を越える。それらの多くは21世紀に書かれた新書や文庫本で、現在も入手可能なものだ。各書評文は純粋な著作紹介に終始せず、あるテーマについて知るために必要な著作を本文中で紹介する、という形式。例えば、「独裁者と文章家」という章では、『ルビコン』(ホランド・著)と『キケロ』(エヴァリット・著)の二書を対比させ、近代国家に求められていた人物像を探った。
 ただし、どの著作に関する記述も1ページ程度と短く、注目したい部分をピックアップすることに留まっている。その点で、「本の読み方の提示がなされていない」「(本書の帯にあるような)『答え』が示されていない」と考える人もいるかもしれない。しかし、答えが示されているとすればそれは紹介されている著作の一つ一つであって、その紹介および読書の手引きということに関して本書は十分にその役割を果たしている。