1781年、ドイツ。後に哲学史上最も有名な本が刊行される。イマヌエル・カントの『純粋理性批判』だ。日本語訳では、岩波書店の全集や以文社から名訳が出ているが、とにかく読み解くのには骨が折れる。その要因の一つが、次々と繰り出される用語だ。悟性、表象、統覚、構想力、アプリオリ、......。哲学書でよく使われる言葉でもカント流の使い方があるため、誤読する人も少なくない。一つ一つの用語の意味を確認しながら読み進めるのがこれまでのスタンダードな読み方だったが、今回の新訳では「悟性」を「知性」、「表象」を「心で思い描いた像」や「観念」と訳すなど大胆な訳語を使っているため、カントの入門書がなくても読み進めることができる。哲学入門書を多数書いてきた中山元氏ならではのサービスだ。

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